伊賀産材木

伊賀の山々には切旬を迎えた杉・桧があふれています。

名張市、伊賀市を合わせると、全面積の約60%が森林となっています。
しかし、地域産材木はそのほとんどが流通しておらず、気軽に購入できないのが現状になっています。伊賀産材木の需要と供給のサイクルをつくることで、伊賀産材木の流通と、森林の新陳代謝を目指します。
また、森林は水源地としても重要な場所です。森林を新陳代謝させることは、良質な水源の確保、大雨時の出水での災害予防にもつながります。

山から木が下りてくるしくみを作る

現在、間伐もままならない山林が増えています。「間伐しても搬出するのにコストがかかる」などの理由で、間伐など適切な手入れのされていない山林が多く存在しています。それは、「どうせ伐っても、売れないし。」といったことから、伐り出さないという選択肢になっています。それなら、「伊賀の木が欲しい」「需要がある」「間伐材も使いたい」といった活用するための需要があれば、山から自然と木が下りてくるようになります。

山から下りてきた木を活用できる場を増やす

流通していないということは、そもそも需要が無い。ということです。建築用材、家具、燃料、紙、活用方法はたくさんありますが、需要がないことには、山から木が伐り出すことが出来ても溜まる一方です。活用できる場を増やすことは大切なこととなります。

地産地消

昔は交通手段が無く、その地方で伐られた材木はその地方で使う。という選択肢しかありませんでした。しかし、近代では他の地方や海外からの材料が安く購入できるようになってきました。その結果、国産材は海外材に押されて、需要減少→単価の高騰→山から伐り出さない、と悪循環へとなってしまっています。もちろん、ブランド材となっている産地の材木は現在も手入れがなされ、惚れ惚れするような素晴らしい国産材も多く存在しています。しかし、「地方で採れた材料は地方で消化する。」という点においては多くの地域が悩んでいることも事実です。

また、地産地消は建物の視点から見ても理にかなっています。生育してきた地方の気候・湿度がおなじ環境となるため、割れや狂いが抑えられます。もちろん樹種や個体差において合致しないものもたくさん出てきますが、同じ環境ということで、木にかかるストレスは少なくなります。

災害の予防

2017年7月の九州豪雨では山間部のいたるところで表層崩壊が発生し、土砂崩れとともに大量の流木が川をせき止め、被害が甚大化しました。その原因となったのが「間伐不足」。間伐がなされないことで、木が密集し、地表面へ日光が差し込まず下草も生えない。生育している木は痩せ細り、根も十分に発育しないため、地面深くまで木の根が生えず土壌の強度も弱くなっています。間伐が適正にされ、下草も生い茂り、一本一本の木が成長することで、木の根が岩盤層まで到達し、その割れ目に根が張ることで地盤の強度は補強されます。そうすることで、大雨が降った時にも表層崩壊することなく、災害を予防できることとなります。

水源地としての役目

名張・伊賀地方は山間部であり、木津川水系の上流部、水源地となっています。水源地の山林の環境を整えることは、良質な水を確保することにおいても大切なことです。
いずれにおいても、山の木を使うことは資源を有効に活用すること、山林の環境を保全することになります。しかし、現在は伊賀の木を使うといった選択はほぼ出来ない状況にありますので、ひとつずつクリアにしていき実現できるようにすることが重要です。